「テーマパークのような旅館」協力業者と共に日々構築
道後プリンスホテル
代表取締役社長 佐渡 祐収 様
道後プリンスホテルについて教えてください
1975年、道後温泉本館から徒歩10分の場所に道後プリンスホテルが開業しました。
西武グループのプリンスホテルの商標登録前から、先代創業者によって道後温泉の地に名づけられました。
客室122室を抱え、道後温泉エリアの中では最大級の客室数となります。
2008年3月には旅館「別邸朧月夜」をオープンしました。
2020年12月にはプリンセストラベルを設立し、2021年10月から愛媛県内の観光地を巡るバス事業を開始しました。
道後プリンスホテルでは、「まるでテーマパークのような温泉宿」をコンセプトに、湯めぐりや客室、料理、館内イベントや体験型コンテンツなど他の宿では経験できない、お客様がワクワクするような楽しい空間を創り上げています。

道後プリンスホテルのこだわりを教えてください
道後プリンスホテルの経営戦略は、「逆張り戦略」です。
通常、どの温泉旅館もこだわりは「お風呂」や「外観」、「食事」といった流れが多いかと思います。一方で、道後プリンスホテルでは、「テーマパークをコンセプトとした旅館」ということで、お風呂だけでなく、大きく5つのカテゴリコンテンツをこだわりとして表現しております。
その象徴が、ホームページのトップページです。
道後プリンスホテルのHP: https://www.dogoprince.co.jp/
トップページを開くと、鬼滅の刃の「無限城」を彷彿させるヴィジュアルとなっています。まずは大局的に下記の5つのカテゴリを確認できます。
1.「遊」を楽しむ
2.「泊」を楽しむ
3.「湯」を楽しむ
4.「食」を楽しむ
5.「団」で楽しむ
その中でも特徴的なのが、「遊」です。
「遊」の代表的なものは、「みかんボールの湯」と「まんがの湯」、「温泉むすめ 道後泉海ちゃんの卓球ルーム」、「金の讃岐うどんショー」があります。
「みかんボールの湯」は、子どもたちに大人気で、みかん色のボールが15,000個一面に詰め込まれたボールプールです。愛媛の人気キャラクター「みきゃん」の大きなイラストが壁全体に描かれ、子どもたちが思わず笑顔になるスポットです。
そして、「まんがの湯」。なんと漫画が5,000冊もあります。岩盤ベンチでお尻を温めながら、ここで十分すぎるほどの漫画を楽しむことができます。隣にあるみかんボールの湯で小さな子ども達が遊び、その横のまんがの湯でお父さんや中高生の大きくなったお子さん達も楽しめる仕様となっています。
「温泉むすめの道後泉海ちゃんの全面イラストの卓球ルーム」もあります。壁から卓球台までイラストが入っていて、卓球でスマッシュすると空振りするくらい目がチカチカします(笑)
あと、「金の讃岐うどんショー」です。芸者さんを社員として雇っていますので、一緒に歌を歌いながら、讃岐うどんを踏み踏みして、その後、そのうどんを湯がいて召し上がっていただくというイベントになります。こちらのイベントもほぼ毎日開催しています。(休演日あり)
まさにアトラクションが数多くありますので、旅館の中で過ごしていただくだけでも時間が1日では足りないとおっしゃっていただけます。

更に、ボンネットバスでの送迎と蛇口オレンジジュース、温泉ゆで玉子づくり、砥部焼絵付け体験、水軍太鼓と津軽三味線共演と、遊園地のような旅館といえます。
当然、「遊」だけでなく、「湯」「泊」も全ておすすめです。
「大浴場ゆのか」では、源泉かけ流しの道後温泉が湧き出し、夜はLED照明のライトアップによって幻想的な空間に変わります。インバウンドの方もその美しさに感心されます。
大浴場の壁画は、女性初の砥部焼伝統工芸士「山田ひろみ」さんによるタイル壁画になります。温泉につかりながら、ゆっくり鑑賞することができます。
洗い場も一つ一つ仕切り壁がありますので、周りに気にすることなく利用いただけます。
また「シャンプーバイキング」によっていろいろなシャンプーを選んでお使いいただけます。普段お使いのシャンプーもそのままご利用いただけます。
男性湯と女性湯でお風呂も異なり、女性湯ではシルクバスやスチームサウナがございます。
更に、大浴場とは別のフロアに「露天風呂 ゆのね」もあり、館内で湯めぐりすることができます。その他に、足湯や顔湯、貸切露天風呂と館内湯だけでも数多くのお風呂がございます。
星空ラウンジでは、松山城を一望でき綺麗な夜景も見ることができます。下から渦を巻いて出てくるトルネードビールも飲み放題です。焼酎、ウイスキー、ハイボールも自由に作って飲むことができます。

ファミリーのお客様が圧倒的に多いです。
通常、じゃらんなどでのグループ利用と言われる場合、1室あたり平均2.2や2.3名といった人数単位となります。しかし、道後プリンスホテルの場合は、年間での平均が3.5という値が算出される年度もあります。つまり、グループでの人数サイズが圧倒的に多いのが特徴です。
そうなると、客室あたりの販売単価も高くなります。
道後温泉でも建て替えを行った旅館では、これまでの団体旅行狙いから2名をターゲットにした客室露天風呂つきなどの付加価値の高めた客室への転嫁が多く見られました。
一方で、道後プリンスホテルは元々団体旅行をメインターゲットとしてきており、その中でも規模が大きく古い施設となってきていました。付加価値を高めるにしても全客室での露天風呂つきなどの改修は数が多くなかなか難しく、限られたハードの条件の中で、どのように活路を見出すかを考えました。
そこで考えたのが、団体客に変わる「プチグループ」「ファミリー」をメインターゲットにすることでした。
平日は団体客を狙いつつ、週末はグループ客、ファミリー客でカバーしています。
そうする内に道後温泉の中では、ファミリーや団体客を対象とした旅館が殆どなくなり、ブルーオーシャンの中で圧倒的な立ち位置を作れています。「みかんボールの湯」や「まんがの湯」などはそうしたファミリーを意識した空間づくりとなっています。
また客室のつくりも、開花亭という二間続きのお部屋は六畳の和室と十畳のベッドのある洋室が繋がっており、三世帯での利用にも適しています。
現在では大型の宴会場がまだある旅館も殆どありません。
敢えての逆張りでそのまま宴会場を残すどころか、パワーアップリニューアルしました。
旅行代理店の方も驚かれていました。
照明を明るくし、パーティションをセットすることで人数の変動にも対応できるようにしました。
昔のレッドオーシャンの団体市場が他が撤退していく中でいつの間にかブルーオーシャンの市場に変わっていました。
土曜日でもバス中型で8台、団体だけでなく個人客も重なって、てんやわんやの日もありました。
法人の団体や社員旅行、高齢者の方のツアーなど、他が受け入れていない分、多くの団体客の方がいらっしゃいます。
道後プリンスホテルではこうした形で明確なターゲットを設定し、その上でストーリー性を持たせて設計しています。
スタッフに対してもストーリー性を重視して取り組んでもらっています。
どういったお客様がご宿泊されますか?

ストーリー性の重要性を語る佐渡社長
施設管理で苦労されている点は?
やはり1975年創業ということもあり、今年設立50周年を迎える中で、施設全体の老朽化が進んできています。
施設が古いため、ここを直したら、今度はこっちが勃発する。ここを直しても、今度はこっちが勃発する。
これが大小いや、大中小と、もうありとあらゆるものが日々発生するという事態です。
私(佐渡社長)が入社する前、また入社直後は、社長・女将・専務の3人で運営していました。
その時の役割が、社長が「営業」、女将が「内政(経理など)」、専務が「施設管理」でした。
この強力な3本の矢によって、束になってもかなわないレベルの組織力を持っていました。
専務は元々ボイラーの三浦工業に勤めていたこともあり、ボイラーや施設メンテナンスに詳しく、自分でもいじれるくらいな人でしたので、とても頼りになる存在でした。しかし、高齢になり動けなくなり、いよいよ退任となってからは、私(佐渡社長)一人となり、これまでの三本の矢を全て一人でやらないといけなくなってしまいました。
そうなったとき、先ほど言う通り大中小の修繕が日々襲い掛かってくる中で、私自身も経理や営業などやりながらですと、その時は覚えていても時間が経つと忘れてしまったり、棚上げになってしまったりすることが増えてきました。
頭の記憶のキャパシティにも限界があるので、今回のHoteKanのような備忘録装置がないと対応するのが難しくなってしまいます。
施設の状態確認を行う佐渡社長

HoteKanを採用いただいた背景は?
愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」にHoteKanが採択されており、道後エリアで実証されている事例を勉強会を通じて知りました。
トライアングルエヒメ: https://dx-ehime.jp/
既に利用している施設からヒアリングも行い、どのように活用されているかを調査しました。
すると、外部の協力業者さんも巻き込めている道後での事例が当時確認できなかったので、正直利用するか悩んでいました。
インシデントの管理だけであれば、記録帳レベルのため、コストを使って使うほどではないかなと思いました。
すると、苅谷社長が直接道後プリンスホテルに来られ、実は本来HoteKanの使い方は協力業者さんも巻き込んで修繕を解決することに強みがあると話があり、道後でのHoteKanの使われ方はまだまだ不十分な点が多いんですと教えてもらいました。
いや、もしそれであればやる価値がある、是非やってみましょうということで実証試験を開始しました。
それもあって、先の協力業者さんを意識して巻き込んでいます。トライアングルエヒメとしても3年目ということですが、ようやく本来の使われ方をしてもらっていると言っていただいています。

HoteKanによる効果はありますか?
一人で「営業」「内政(経理)」「施設管理」を回すとなったときに、過去に起きた故障箇所について、どうしても時間が経って忘れてしまったり、棚上げになってしまうことが多々ありました。これがHoteKanを用いることで、それぞれのインシデントごとに今どのような状況なのか進捗を追うことができるのがありがたいです。
また、遠く離れていてもHoteKanで連絡がくることで、緊急性があるのかないのか、ビデオや映像によって伝わってきます。インシデント毎に紐づいて動画や画像が見えることで、進捗状況も把握しやすく、更に社内で解決できない内容については、協力業者さんも巻き込んでやり取りできるのが、HoteKanの良いところです。
インシデント毎に該当する協力業者を選定できるため、映像や写真などもそのままインシデントチャット内容を全て見せて、解決までのプロセスを進めることができます。
電話だけだとどうしても臨場感や緊急性が伝わりにくいですが、そういった部分が協力業者さんにも直ぐに伝わりやすく、初動の動きも変わってきます。これによって、現地調査の時間も大きく短縮されました。
また私自身がどうしても「施設管理」のみにどっぷりと担当することができないため、HoteKanを合間合間の隙間時間の中で活用することで、効率的に人も巻き込んで施設管理をすることが可能になりました。
隙間時間の中で、インシデントの進捗状況を確認し、どうなっているか不明なものについては、社内および協力業者さんに対してもビシバシ追及します。まだ見積書が上がっていないインシデントなど、どうなっていますか?と聞くことで、協力業者さんもすぐに送付してくれ、全体的に解決までのスピードが上がっていきます。過去のやり取りもすぐに確認できるので、メールと異なって、時系列で一つ一つ探す必要もなく非常に便利です。
例えるなら、壁にタイトルの付箋だけがポンポンと貼ってあって、それぞれをめくったらやり取りが全部書いてあるといったイメージです。
未解決のインシデントがずっと止まっているのを見ると正直モヤモヤします。
まるで「歯磨きしていない口」のような放っておきたくない気持ち悪さを感じます。
初めは、協力業者さんも進んでHoteKanを使ってくれませんでしたが、トップ主導で「見てくれましたか?」「どうなりましたか?」と都度入れていくことで、少しずつ意識して使ってくれるように変わっていきました。それによって修繕解決のスピードも徐々に上がっていきました。
また過去のインシデントの修繕方法も確認できるので、前回中段くらいまで直してた内容を今回は大規模に直した方が良いのでは等の議論もしやすいです。これがHoteKanがないとうろ覚えになってしまい、なかなかそうした話にはなりません。
更に、旅館業の場合は、チェックイン前の日中よりもチェックインされた後の夜が重要です。
24時間営業ですので、社内の施設管理の担当者が退勤しているときに、水漏れやお湯がでないなどの重大なインシデントがおきた場合、大変です。そうしたときは、ナイトスタッフがHoteKanで共有することができます。
緊急性があるときは、そのまま協力業者さんに来てもらうこともできるようになりました。
アプリという手軽さのお陰で、日中だけでなく夜のスタッフも対応できるようになりました。
そういう意味では、社員全体を巻きこんで、施設管理を意識させることにも成功していると思います。


実際にHoteKanをどのように使われていますか?
日中であれば、清掃会社もしくは社内の設備担当、用度担当がHoteKanのインシデントとして登録します。担当がいないときは、フロントスタッフが登録します。夜発生した事象はナイトスタッフが登録します。その後、インシデントごとに協力業者を招待し、見積や修繕依頼を行います。
【HoteKan設備】
11:00~
お客様がチェックアウトされた後、設備担当が客室に入り、客室内の設備異常を発見し、HoteKanに 入力。

12:30~
協力業者さんがHoteKanで内容を確認し、見積書を共有し、決裁者である社長に確認をとります。
HoteKanのインシデントチャットでOKをもらい次第、現場に駆けつけて修繕を行います。

今回インタビューさせて頂いた方

道後プリンスホテル
代表取締役社長 佐渡 祐収 様
1975年7月1日 東京都八王子市生まれ
2002年10月 新日本有限責任監査法人 入社。2014年 2月 太陽有限責任監査法人 入社。2019年 3月 道後プリンスホテル(株) 入社。同年10月 取締役副社長 就任。2022年 4月 道後プリンスホテル(株) 代表取締役社長 就任。大学卒業後、公認会計士の資格を取得し、大手監査法人で約18年間、会計監査、証券取引所上 場準備会社への内部統制及び会計業務に対するコンサルティング業務に従事
「テーマパークのような旅館」協力業者と共に日々構築
道後プリンスホテル 代表取締役社長 佐渡 祐収 様
道後プリンスホテルについて教えてください
1975年、道後温泉本館から徒歩10分の場所に道後プリンスホテルが開業しました。
西武グループのプリンスホテルの商標登録前から、先代創業者によって道後温泉の地に名づけられました。
客室122室を抱え、道後温泉エリアの中では最大級の客室数となります。
2008年3月には旅館「別邸朧月夜」をオープンしました。
2020年12月にはプリンセストラベルを設立し、2021年10月から愛媛県内の観光地を巡るバス事業を開始しました。
道後プリンスホテルでは、「まるでテーマパークのような温泉宿」をコンセプトに、湯めぐりや客室、料理、館内イベントや体験型コンテンツなど他の宿では経験できない、お客様がワクワクするような楽しい空間を創り上げています。

道後プリンスホテルのこだわりを教えてください
道後プリンスホテルの経営戦略は、「逆張り戦略」です。
通常、どの温泉旅館もこだわりは「お風呂」や「外観」、「食事」といった流れが多いかと思います。一方で、道後プリンスホテルでは、「テーマパークをコンセプトとした旅館」ということで、お風呂だけでなく、大きく5つのカテゴリコンテンツをこだわりとして表現しております。
その象徴が、ホームページのトップページです。
道後プリンスホテルのHP: https://www.dogoprince.co.jp/
トップページを開くと、鬼滅の刃の「無限城」を彷彿させるヴィジュアルとなっています。まずは大局的に下記の5つのカテゴリを確認できます。
1.「遊」を楽しむ
2.「泊」を楽しむ
3.「湯」を楽しむ
4.「食」を楽しむ
5.「団」で楽しむ
その中でも特徴的なのが、「遊」です。
「遊」の代表的なものは、「みかんボールの湯」と「まんがの湯」、「温泉むすめ 道後泉海ちゃんの卓球ルーム」、「金の讃岐うどんショー」があります。
「みかんボールの湯」は、子どもたちに大人気で、みかん色のボールが15,000個一面に詰め込まれたボールプールです。愛媛の人気キャラクター「みきゃん」の大きなイラストが壁全体に描かれ、子どもたちが思わず笑顔になるスポットです。
そして、「まんがの湯」。なんと漫画が5,000冊もあります。岩盤ベンチでお尻を温めながら、ここで十分すぎるほどの漫画を楽しむことができます。隣にあるみかんボールの湯で小さな子ども達が遊び、その横のまんがの湯でお父さんや中高生の大きくなったお子さん達も楽しめる仕様となっています。
「温泉むすめの道後泉海ちゃんの全面イラストの卓球ルーム」もあります。壁から卓球台までイラストが入っていて、卓球でスマッシュすると空振りするくらい目がチカチカします(笑)
あと、「金の讃岐うどんショー」です。芸者さんを社員として雇っていますので、一緒に歌を歌いながら、讃岐うどんを踏み踏みして、その後、そのうどんを湯がいて召し上がっていただくというイベントになります。こちらのイベントもほぼ毎日開催しています。(休演日あり)
まさにアトラクションが数多くありますので、旅館の中で過ごしていただくだけでも時間が1日では足りないとおっしゃっていただけます。

更に、ボンネットバスでの送迎と蛇口オレンジジュース、温泉ゆで玉子づくり、砥部焼絵付け体験、水軍太鼓と津軽三味線共演と、遊園地のような旅館といえます。
当然、「遊」だけでなく、「湯」「泊」も全ておすすめです。
「大浴場ゆのか」では、源泉かけ流しの道後温泉が湧き出し、夜はLED照明のライトアップによって幻想的な空間に変わります。インバウンドの方もその美しさに感心されます。
大浴場の壁画は、女性初の砥部焼伝統工芸士「山田ひろみ」さんによるタイル壁画になります。温泉につかりながら、ゆっくり鑑賞することができます。
洗い場も一つ一つ仕切り壁がありますので、周りに気にすることなく利用いただけます。
また「シャンプーバイキング」によっていろいろなシャンプーを選んでお使いいただけます。普段お使いのシャンプーもそのままご利用いただけます。
男性湯と女性湯でお風呂も異なり、女性湯ではシルクバスやスチームサウナがございます。
更に、大浴場とは別のフロアに「露天風呂 ゆのね」もあり、館内で湯めぐりすることができます。その他に、足湯や顔湯、貸切露天風呂と館内湯だけでも数多くのお風呂がございます。
星空ラウンジでは、松山城を一望でき綺麗な夜景も見ることができます。下から渦を巻いて出てくるトルネードビールも飲み放題です。焼酎、ウイスキー、ハイボールも自由に作って飲むことができます。

どういったお客様がご宿泊されますか?
ファミリーのお客様が圧倒的に多いです。
通常、じゃらんなどでのグループ利用と言われる場合、1室あたり平均2.2や2.3名といった人数単位となります。しかし、道後プリンスホテルの場合は、年間での平均が3.5という値が算出される年度もあります。つまり、グループでの人数サイズが圧倒的に多いのが特徴です。
そうなると、客室あたりの販売単価も高くなります。
道後温泉でも建て替えを行った旅館では、これまでの団体旅行狙いから2名をターゲットにした客室露天風呂つきなどの付加価値の高めた客室への転嫁が多く見られました。
一方で、道後プリンスホテルは元々団体旅行をメインターゲットとしてきており、その中でも規模が大きく古い施設となってきていました。付加価値を高めるにしても全客室での露天風呂つきなどの改修は数が多くなかなか難しく、限られたハードの条件の中で、どのように活路を見出すかを考えました。
そこで考えたのが、団体客に変わる「プチグループ」「ファミリー」をメインターゲットにすることでした。
平日は団体客を狙いつつ、週末はグループ客、ファミリー客でカバーしています。
そうする内に道後温泉の中では、ファミリーや団体客を対象とした旅館が殆どなくなり、ブルーオーシャンの中で圧倒的な立ち位置を作れています。「みかんボールの湯」や「まんがの湯」などはそうしたファミリーを意識した空間づくりとなっています。
また客室のつくりも、開花亭という二間続きのお部屋は六畳の和室と十畳のベッドのある洋室が繋がっており、三世帯での利用にも適しています。
現在では大型の宴会場がまだある旅館も殆どありません。
敢えての逆張りでそのまま宴会場を残すどころか、パワーアップリニューアルしました。
旅行代理店の方も驚かれていました。
照明を明るくし、パーティションをセットすることで人数の変動にも対応できるようにしました。
昔のレッドオーシャンの団体市場が他が撤退していく中でいつの間にかブルーオーシャンの市場に変わっていました。
土曜日でもバス中型で8台、団体だけでなく個人客も重なって、てんやわんやの日もありました。
法人の団体や社員旅行、高齢者の方のツアーなど、他が受け入れていない分、多くの団体客の方がいらっしゃいます。
道後プリンスホテルではこうした形で明確なターゲットを設定し、その上でストーリー性を持たせて設計しています。
スタッフに対してもストーリー性を重視して取り組んでもらっています。

施設管理で苦労されている点は?
やはり1975年創業ということもあり、今年設立50周年を迎える中で、施設全体の老朽化が進んできています。
施設が古いため、ここを直したら、今度はこっちが勃発する。ここを直しても、今度はこっちが勃発する。
これが大小いや、大中小と、もうありとあらゆるものが日々発生するという事態です。
私(佐渡社長)が入社する前、また入社直後は、社長・女将・専務の3人で運営していました。
その時の役割が、社長が「営業」、女将が「内政(経理など)」、専務が「施設管理」でした。
この強力な3本の矢によって、束になってもかなわないレベルの組織力を持っていました。
専務は元々ボイラーの三浦工業に勤めていたこともあり、ボイラーや施設メンテナンスに詳しく、自分でもいじれるくらいな人でしたので、とても頼りになる存在でした。しかし、高齢になり動けなくなり、いよいよ退任となってからは、私(佐渡社長)一人となり、これまでの三本の矢を全て一人でやらないといけなくなってしまいました。
そうなったとき、先ほど言う通り大中小の修繕が日々襲い掛かってくる中で、私自身も経理や営業などやりながらですと、その時は覚えていても時間が経つと忘れてしまったり、棚上げになってしまったりすることが増えてきました。
頭の記憶のキャパシティにも限界があるので、今回のHoteKanのような備忘録装置がないと対応するのが難しくなってしまいます。

HoteKanを採用いただいた背景は?
愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」にHoteKanが採択されており、道後エリアで実証されている事例を勉強会を通じて知りました。
トライアングルエヒメ: https://dx-ehime.jp/
既に利用している施設からヒアリングも行い、どのように活用されているかを調査しました。
すると、外部の協力業者さんも巻き込めている道後での事例が当時確認できなかったので、正直利用するか悩んでいました。
インシデントの管理だけであれば、記録帳レベルのため、コストを使って使うほどではないかなと思いました。
すると、苅谷社長が直接道後プリンスホテルに来られ、実は本来HoteKanの使い方は協力業者さんも巻き込んで修繕を解決することに強みがあると話があり、道後でのHoteKanの使われ方はまだまだ不十分な点が多いんですと教えてもらいました。
いや、もしそれであればやる価値がある、是非やってみましょうということで実証試験を開始しました。
それもあって、先の協力業者さんを意識して巻き込んでいます。トライアングルエヒメとしても3年目ということですが、ようやく本来の使われ方をしてもらっていると言っていただいています。

道後プリンスホテル 代表取締役社長 佐渡 祐収 様
HoteKanによる効果はありますか?
一人で「営業」「内政(経理)」「施設管理」を回すとなったときに、過去に起きた故障箇所について、どうしても時間が経って忘れてしまったり、棚上げになってしまうことが多々ありました。これがHoteKanを用いることで、それぞれのインシデントごとに今どのような状況なのか進捗を追うことができるのがありがたいです。
また、遠く離れていてもHoteKanで連絡がくることで、緊急性があるのかないのか、ビデオや映像によって伝わってきます。インシデント毎に紐づいて動画や画像が見えることで、進捗状況も把握しやすく、更に社内で解決できない内容については、協力業者さんも巻き込んでやり取りできるのが、HoteKanの良いところです。
インシデント毎に該当する協力業者を選定できるため、映像や写真などもそのままインシデントチャット内容を全て見せて、解決までのプロセスを進めることができます。
電話だけだとどうしても臨場感や緊急性が伝わりにくいですが、そういった部分が協力業者さんにも直ぐに伝わりやすく、初動の動きも変わってきます。これによって、現地調査の時間も大きく短縮されました。
また私自身がどうしても「施設管理」のみにどっぷりと担当することができないため、HoteKanを合間合間の隙間時間の中で活用することで、効率的に人も巻き込んで施設管理をすることが可能になりました。
隙間時間の中で、インシデントの進捗状況を確認し、どうなっているか不明なものについては、社内および協力業者さんに対してもビシバシ追及します。まだ見積書が上がっていないインシデントなど、どうなっていますか?と聞くことで、協力業者さんもすぐに送付してくれ、全体的に解決までのスピードが上がっていきます。過去のやり取りもすぐに確認できるので、メールと異なって、時系列で一つ一つ探す必要もなく非常に便利です。
例えるなら、壁にタイトルの付箋だけがポンポンと貼ってあって、それぞれをめくったらやり取りが全部書いてあるといったイメージです。
未解決のインシデントがずっと止まっているのを見ると正直モヤモヤします。
まるで「歯磨きしていない口」のような放っておきたくない気持ち悪さを感じます。
初めは、協力業者さんも進んでHoteKanを使ってくれませんでしたが、トップ主導で「見てくれましたか?」「どうなりましたか?」と都度入れていくことで、少しずつ意識して使ってくれるように変わっていきました。それによって修繕解決のスピードも徐々に上がっていきました。
また過去のインシデントの修繕方法も確認できるので、前回中段くらいまで直してた内容を今回は大規模に直した方が良いのでは等の議論もしやすいです。これがHoteKanがないとうろ覚えになってしまい、なかなかそうした話にはなりません。
更に、旅館業の場合は、チェックイン前の日中よりもチェックインされた後の夜が重要です。
24時間営業ですので、社内の施設管理の担当者が退勤しているときに、水漏れやお湯がでないなどの重大なインシデントがおきた場合、大変です。そうしたときは、ナイトスタッフがHoteKanで共有することができます。
緊急性があるときは、そのまま協力業者さんに来てもらうこともできるようになりました。
アプリという手軽さのお陰で、日中だけでなく夜のスタッフも対応できるようになりました。
そういう意味では、社員全体を巻きこんで、施設管理を意識させることにも成功していると思います。


実際にHoteKanをどのように使われていますか?
日中であれば、清掃会社もしくは社内の設備担当、用度担当がHoteKanのインシデントとして登録します。
担当がいないときは、フロントスタッフが登録します。夜発生した事象はナイトスタッフが登録します。
その後、インシデントごとに協力業者を招待し、見積や修繕依頼を行います。
【HoteKan設備】
11:00~
お客様がチェックアウトされた後、設備担当が客室に入り、客室内の設備異常を発見し、HoteKanに入力。

担当者(設備/用度)がインシデント入力
12:30~
協力業者さんがHoteKanで内容を確認し、見積書を共有し、決裁者である社長に確認をとります。
HoteKanのインシデントチャットでOKをもらい次第、現場に駆けつけて修繕を行います。

今回インタビューさせて頂いた方

道後プリンスホテル
代表取締役社長 佐渡 祐収 様
1975年7月1日 東京都八王子市生まれ
2002年10月 新日本有限責任監査法人 入社。2014年 2月 太陽有限責任監査法人 入社。
2019年 3月 道後プリンスホテル株式会社 入社。同年10月 取締役副社長 就任。
2022年 4月 道後プリンスホテル株式会社 代表取締役社長 就任。
大学卒業後、公認会計士の資格を取得し、大手監査法人で約18年間、会計監査、証券取引所上場準備会社への内部統制及び会計業務に対するコンサルティング業務に従事


